2013年 05月 29日
草木谷の田植え |
朝寝坊で遅刻してしまった。
石川記念館に朝10時到着。
駐車場には車一台だけで、他の車は田んぼ周辺と予測できたから、記念館に車を置き、草木谷まで歩いて行くことにした。
道を進むとおばあさんが一人手押し車を押しながら歩いていた。
「草木谷は真っ直ぐですか」と尋ねる。
おばあさんは「カツモトですか」と答える。
「いいえ、草木谷」と再び尋ねると、おばあさんは「カツイエ」と聞いてきた。
これはなかなか大変だと思い、「あの水がたくさんあって、田んぼがあるところですよ」と聞き直した。
... おばあさんが、黄色いタンポポを指さしたので、お礼を言ってその場を後にした。
進みながら、田んぼと言ってもこの周辺は田んぼがたくさんあることを再認識した。
田植えしたばかりの田んぼ。
水田の近くに咲くタンポポ。
時々水の音。
苦手な犬の泣声。
しかし、人がいない。
赤ん坊の泣き声や子どもが遊んでいる姿も見えない。
もう少し進むと左の民家の小屋におじいさんが一人いた。
「すみません。草木谷に行きたいのですが」と尋ねると、道の先を指さしてくれた。
つまり、道なりに進めばいいと思った。目的の場所はそのうち見えてくるだろう。
と、考える暇もなく、草木谷の手書きの立て看板を発見。
文字を見ると安心する。
ここには人がいる。ここには人が住んでいる。ここには人の群れがあるのだ。
私は矢印通り、山道を恐る恐る進み始めた。
何というか… 蛇が苦手なもので、途中であったらたらどうしよう。
後ろを振り返る。戻ろうかとも。
しかし、戻ろうと思っても帰る気力がない。
かなり歩いて来たからだ。
周辺の写真をとりながら、進むと一台の車が見えた。
秋田県立大の教授が奥様と学生の活動をご覧になるためにいらしたそうだ。
先生は車を山道に駐車されたので、一緒に草木谷を目指した。
草木谷に10時30分到着。
既にボランティアの学生・一般の方々が田植えをしている。
目立つのは早乙女姿の美人揃いのメンバーだ。
田植えをしている。酒米の苗を定着させるプロセスだ。
田植えの風景は幸せな風の風景だ。
田植えの風景は平和の証だ。
田植えの風景は若い娘の初恋のドキドキだ。
と思いながら写真を撮っていると、懐かしい顔が現れた。
一人、二人、三人…
お久しぶりです。
お世話になっています。
長靴の足を見る。
私も一緒だ。
仲間は同じ物を着る。
同じ食べ物を食べる。
同じ秋田に住む。
ただ、私は泥がまだ付いてない。
これからだ。
早乙女衣装の女性がいて、県立大の先生と写真を撮る。
そして、あれこれしているうちに、11時30分なってしまう。
楽しい時間は短く感じる。
本当にそうだ。
記念撮影に石川紀行さんから声がかかる。
向かっていると馴染みにある声が聞こえた。
学生の声で、推理小説好きな○○君の声だった。
県立大のサークルを引っ張っている。
秋大同期の方やNPO・県庁関係の方々。
新入生の学生。函館・長野・静岡・栃木・青森・秋田・
秋田の昭和町・大潟村の学生。みんな元気いっぱい。
記念写真の合間に、どこからかビーチパラソルが運ばれ、
昼ごはんが用意されていた。
おいしいおにぎり・おかず・弁当・漬物・飲み物。
食事しながら話が弾む。日本酒だけではなく、
あらゆる酒の良さがわからない外人のために甘酒は作れないかとか。
田んぼづくりの名人らに後継者がいないとか。
後に続く人がいないのか。
だが、ここには懐かしい顔がたくさんある。
来年また来る人もいるはずだ。
秋田のことが好きな人も。
食後は解散だったから、帰ることになった。
蛇が怖い私はなかなか動けない。
しかし、幸運なことに、先ほどまでおにぎりやおかずを配っていた
草木谷のおかあさんの車に乗ることができた。
おかあさんは、草木谷のことを親切に教えてくれた。
ここは、秋田の草木谷だ。都会ではない。
辺り一面田んぼだらけだ。
そして、ここに住んでいるのは
黄色いハンカチを持った心温かい人々だ。
草木谷のみなさん。サンキュー。
(カビール)


by banyantree-japan
| 2013-05-29 21:44
| やさしい環境学習会